ブックオフはなぜマレーシアで消費者に「有名店」と認知されるようになったのか

 

「立ち読みOK」「コンビニのように明るい店舗」など、それまでの業界の常識に捉われないスタイルで多くの人に支持され、本や家電のリユース業界のリーディングカンパニーとも言えるブックオフ。同社のマレーシア子会社BOKマーケティングは2016年11月に、クアラルンプール郊外にJalan Jalan Japan/ジャラン・ジャラン・ジャパン(以下JJJ)を出店。その業績は非常に好調だ。今回は、BOKマーケティング・ディレクターの小野沢孝治さんに、JJJの展開についてインタビューした(聞き手 みやはら由惟)

 

来店頂くのに重要なのは、立地でもディスカウントでもない

 

――JJJはどのようなお店でしょうか?

 

まず店舗名の「Jalan Jalan Japan」についてですが、Jalan Jalanは、マレー語で「散歩」という意味です。「マレーシアのお客様に、気軽に日本の雰囲気を楽しんで欲しい」という思いを込めました。アパレル・生活雑貨から楽器やスポーツ・子ども関連まで幅広い商品を扱っています。「Preloved in Japan(日本で大切に使われていた=良質)」商品を安く、お買い物を楽しんで欲しいというのがコンセプトになります。

 

――スバンジャヤの1号店が、マレーシアの方に高い評価を得ています。小野沢さんの分析をお聞かせください。

 

「日本」という文化が歓迎され、手ごろな値段で手に入れられる、これは大きいですね。マレーシアにおいて、日本の商品に対するブランド力は充分ですが、「新品商品は高く」なかなか買いにくいという印象が拭えません。しかしJJJでは「安く」日本のものが買えるので、たくさんの方に喜んでいただいています。

 

そして、もうひとつ。店舗オープン時に「マイナス要素」に縛られなかったことが、成功の要因かもしれません。これは売れないだろう、などの判断を私たちがすることのないようにしました。例えば、店舗に置く商品について。マレーシアは車社会のため、日本ほど傘を使う方がおらず、売るのが難しいだろうと考えていました。それが意外なことに、かなり好評なのです。好きな柄を数本選んでセットで買える子ども用のエンピツなども良く売れます。お客様を見ていると、時間をかけて1つ1つ確認しながら楽しそうに商品を吟味されている。マレーシアには無いデザインの商品を「選ぶ」という楽しさがあるのだと思います。

 

あえてマイナーなショッピングモールに出店する理由

 

――御社はこれまでにアメリカ・フランスと海外展開をされていますが、今回はなぜ、マレーシアを選ばれたのですが?

マレーシアのマーケットを分析してというよりは現実的な面です。洋服の輸入がしやすかった、東南アジアの中での経済的な発展度、いいパートナーが見つかった、の3点が主な理由になります。特にパートナー企業の戦略には大きく助けられています。

 

――どんな戦略に助けられたのでしょうか?

 

例えば立地について。見ていただいたように、1号店、2号店ともに、決して賑わっているとは言いがたいショッピングモールでの出店になりました。ここで大丈夫か?という心配の声もたくさん頂きました。しかし今のところ集客力に影響はありません。むしろマレーシアで耳にする「駐車スペースが足りない」という問題を抱えることが無いので、この立地は正解だったと思っています。さらにマレーシア独自のプロモーションの仕方にこだわり、それが当たったことも大きかった。現地の事情を良く理解しており、それに即した戦略を立て更に実行できる。パートナー企業には感謝しています。

 

――マレーシアでのプロモーションというのは、具体的にどういうことでしょうか?

 

マレーシアではお客様やブロガーの方が、消費者の購買力に「非常に大きな影響」を与えます。接客・商品力などを強化し、ブロガーさんに気持ちよくお買い物をしていただいて「感動」していただく。その「感動」をブログ等SNSを通じて発信してもらう。それを見た一般の方にもお買い物に来ていただく、という流れです。

 

 

開店以来、大きなクレームはありません

 

――プロモーション以外にも、工夫されていることはありますか?

 

JJJの特徴として、お客様の店舗滞在時間が非常に長い、という点が上げられます。それは商品力にこだわって幅広い商品をそろえているというおかげかもしれません。日本から各週コンテナーが到着し、ストックを補充しています。あとは商品の衛生面にもこだわっています。洋服に関しては店舗に陳列する前にすべてスチームアイロンをかけているので、いわゆる「中古品」らしさが感じられないようにしています。また子だくさんのマレーシア、子ども関連商品もたくさん用意しており、親がお買い物中に子どもが遊べるプレイスペースも設けております。

 

 

――マレーシアのお客様の特徴はありますか?

 

当社のお客様はマレーシアの民族人口比率と同じように、マレー系6割、中国系3割、インド系1割、といった感じですが、皆様一様に「優しくてフレンドリー」の一言に尽きます。リピーターも多く、毎日店舗に顔を出してくださる方も。1号店をオープンして10ヶ月経ちましたが、これまでに大きなクレームを頂いたことが1度もありません。これもお客様の日本やJJJに対する暖かい気持ちだと思っています。お客様にささえてもらい営業を続けられています。

 

――最後に今後の展開について、お聞かせください。

 

KLを中心に3年以内に5店舗の出店を狙っています。5年以内にはマレーシア全土で10店舗を目標に。コンセプトに忠実に買取りについてはしない予定です。JJJのブランドを高めてお客様に楽しんでもらえて、感動してもらえる店舗をめざしていきます。

 

――ありがとうございました。

 

(編集後記)
この取材の後、2号店オープンにもうかがったが、オープン前から200名以上の行列ができたとのこと。来店されていたお客様は「1号店によく通っており、2号店オープンが楽しみだった。マレーシア人の中では有名なお店だ」と語ってくれた。マレーシアでは、DAISOなどが「便利でクオリティの高い日本商品を手軽に買える店」として既に現地で受け入れられているが、その違いについて聞いてみると「それぞれの値段が違い商品も幅広いので、JJJは楽しい」と笑顔で答えてくれた。小野沢氏が本文中でも触れていたが「選べる楽しさ」が大きな成功要因のようだ。今後JJJがマレーシア人の暮らしにとってどんな位置づけのお店に成長するのか、注目し続けていきたい。

 

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