「マレーシアで日本製品をどう売るか」クールジャパンビジネスセミナー(第一回)

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1月12日、日本の内閣府・知的財産戦略推進事務局が主催するクールジャパンのイベント「クール・ジャパン・ビジネス・セミナー・Japan & Malaysia :Future Together-日本・マレーシア両国の発展に向けてクールジャパン戦略から考える」がクアラルンプールのウエスティン・ホテル・クアラルンプールで行われた。マレーシアマガジンではこのイベントをレポートする。(マレーシアマガジン=野本響子)

 

クール・ジャパン・ビジネス・セミナーは、クールジャパンの観点から、日本とマレーシアの発展につながる連携の可能性を探るシンポジウム。平井卓也内閣府クールジャパン戦略担当大臣、内閣府の住田孝之知的財産戦略推進事務局長も来馬。マレーシアでビジネスを行っている日本人・マレーシア人が登壇し、浜野京内閣府政策参与が進行役となり、議論した。今マレーシアで日本の製品を売るときに日本企業が苦戦するのは何故なのか。現場からは構造的な問題が指摘された。

 

(参加者一覧)
平井卓也大臣(内閣府・クールジャパン戦略担当大臣)
住田孝之氏(内閣府知的財産戦略推進事務局長)
浜野京氏(内閣府参与・モデレーター)
石橋正樹氏(76Style代表取締役)
五木田貴浩氏(ふぁん・じゃぱん株式会社代表取締役)
坪野香梨氏(AZIA MARKETING MALAYSIA SDN BHD CEO)
Desmond Ngai氏(WEB TV ASIA Senior Vice President)
山口聖三氏(UNLOCK DESIGN International CEO)

 

第一回 メイドインジャパンだから売れる、は間違いだ

 

石橋正樹氏(76Style代表取締役)
日本製品をマレーシアで売るにあたってコストの問題があると思う。まず、日本サイドとマレーシアサイドの下代設定に10パーセントから15パーセントの開きがある。さらに物流や関税などが加わり、店頭に並ぶときは、販売価格が日本上代の1.5倍や2倍になる。もう一つ、どうしてもプロダクトアウト(会社が作りたいもの、作れるものを基準に商品開発する)の展開になる。プロダクトアウトの場合、商品のローカライズやカスタマイズができないのが前提なので、本来は目利きの存在が不可欠。日本旅行中の買い物は、顧客自身が日本のマーケットに目線を寄せていくので、買う側が商品を発掘してくれるが、日本でヒットしたものを相手方のマーケットで売るのはまったく別の話。ローカルマーケットを熟知する目利きの存在なしで、マレーシアでものを売るのはチャレンジングだ。
注)*下代とは卸価格、上代とは販売価格を指す業界用語

 

坪野香梨氏(AZIA MARKETING MALAYSIA SDN BHD CEO)
弊社では日本の会社のマレーシア進出をお手伝いしている。日本企業は、「メイドインジャパンだから売れるでしょ」と思っている。しかしそのままでは売れない。例えば、日本人は商品の由来とか開発秘話とか、文字を読むのが大好きで、パンフレットは文字ばかりとなる。現地では文字はあまり読まれないため、商品の良さは伝わらない。
製品名や、商品の色とかパッケージとかを変更する必要がある。(日本で人気のある)ナチュラル、素朴な色は人気なく、派手な色が好き。そこでリブランディング費用がかかる。日本はこのパッケージには理由あって、と変えたくないというギャップがある。

 

五木田貴浩氏(ふぁん・じゃぱん株式会社代表取締役)
日本のアンテナショップをやって販売して反応を見ている。課題は、大きく三つある。1つは日本企業が自治体含めて短期志向であるということ。新しい市場に攻めていくにあたって、課題の洗い出しや売れるための仕掛けづくりなど、最低でも3年はPDCA(「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」)を回さないとならないと思う。
2点目。新規市場への投資が少ない。海外展開したい企業に「新しい市場に売り込むこと自体が難しい」という認識が少ない。メディアも成功事例ばかりを取り上げるため、勘違いする。日本のもの、メイドインジャパンなら高く売れると思っている。そのため、海外市場に必要な投資が行われない。
3点目、日本企業に、海外に展開する戦略がまるでない。日本の市場で売るためには競合商品との差別化やどういったチャネルでどういったターゲットに売るかといった販売戦略などを立てるはずなのに、その当たり前の戦略が海外に行った途端に飛んでしまう。

 

浜野京氏(内閣府参与・モデレーター)
具体的に深い話が出ました。貿易に慣れてない、コストが海外で売る価格設定になってない、さらにメイドインジャパンへの過信。プロダクトアウトからマーケットインの発想へ変えていくということ。さらに中長期的な戦略が欲しいということですね。

 

Desmond Ngai氏(WEB TV ASIA Senior Vice President)
第1に、日本製品は品質が高く、良いブランドだという認識がある。第2に、コスト・価格の面では競争力がない。他国、例えば中国や韓国に比べて価格が高い。第3に、小売店やオンラインで手に入れやすいか?が問題となる。日本企業は価格にフォーカスするべきではない。何故なら、安さを追求すれば市場にはもっと安いものがあり難しいからだ。では高品質なものを売るとして、第1に、消費者にどうやってプレゼンするか。第2にどうディストリビューションするか。第3どうブランドづけするかが問題となる。

 

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石橋氏
コストについては構造上の問題があると考えている。日本のように競争が厳しい市場では多品種小ロットが求められ、自ずとスリムなマージンで商売を組み立てなければならない。一方で、海外ではコストを落とすことが最優先されるので、基本的に少品種多ロットのビジネスモデルになる。この差が商品の機能の違いと価格差に反映されるので、商談の最初からつまずくことが多い。また、日本の商品をマレーシアで販売する際に、販売員はその商品を食べたことも触ったこともない場合がある。販売員には期待できないものとして、販売員に依存しない、もしくは、販売員がいらない売り場づくりを心がけるべき。日本のVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)のクオリティーは、世界でもトップレベルなので、VMD やさまざまなデジタルの仕掛けを駆使することで、販売員に頼らない売り場づくりは可能だと思う。

 

浜野京氏(内閣府参与・モデレーター)
構造的に価格の弾力性が乏しく、海外に持って行った時に強豪相手に勝ちにくい。価値をどう伝えるかが重要。どう競争相手と戦うか。リブランドするか。リバリューするかのさまざまな工夫が必要ですね。品質が良いのなら、その価値をうまく伝えて行く工夫がいるということですね。

 

そこまでのクオリティは求められているのか

 

住田孝之・内閣府知的財産戦略推進事務局長
日本の消費者が求めている厳密なクオリティーを、現地向けに少し下げることができるのか。ニッチになるかもしれないが、価値を感じる人に上手に訴求できるのか。ものを離れてサービスにシフトすると、売り方はもっと違うだろう。コンテンツ商売が典型的だ。

 

浜野京(内閣府参与・モデレーター)
高いものでも「高いものを理解できるターゲット層」にうまく合致すれば売れて行くのではないか。そのターゲットの訴求の仕方がずれている場合には成功しないのではないか。この国には様々なレベルのマーケットがあって、それぞれターゲットにマッチするコミュニティーを探してアピールしていけばうまくいくか? ということですね。

 

(第二回に続きます)

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