世界で活躍するドリフト選手 川畑真人さん・藤野秀之さんインタビュー

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(左:藤野秀之 右:川畑真人)

 

マレーシアで日本発の「ドリフト」パフォーマンスが行われ人気を集めている。ドリフトとはそもそも何か。大会に合わせて来馬した日本人選手にドリフトの世界での現状をインタビューした。(マレーシアマガジン=かりわめぐみ)

 

マレーシアのペナンで、開催された「トヨタ・ガズーレーシング・フェスティバル」で、「Team TOYO TIRES DRIFT」の川畑真人選手、藤野秀之選手がドリフトパフォーマンスを行った。

 

ドリフトとは、日本で生まれた車の運転技術である。元々はタイヤを横滑りさせるテクニックのことで、その競技は、1台で走る単走と、2台で走る追走がある。日本国内で年間通して開催されている「全日本プロドリフト選手権(通称 D1)」は、通常の順位を競うレースとは異なり、車を横滑りさせてその美しさを審査するという一風変わった競技だ。

 

 

マレーシアでも大人気の日本発の競技「ドリフト」とは?

競技の特性を生かして走る、ドリフトのパフォーマンスは、例えるなら、車の「アーティスティックスイミング」といったところ。2台の車両で、より近い距離を保ちながら走行したり、3台以上で走ることもある。車両がぶつからない限界すれすれで走るパフォーマンスでは、息の合った演技が要求される。

 

マレーシアでは、エクストリームスポーツとしてドリフトの人気は高い。クアラルンプールの「プラザ・ロウ・ヤット」には世界初のドリフト・カートの室内アトラクション施設があり、スランゴールの「Malaysia Agro Exposition Park Serdang」では車両をレンタルしてレッスンを受けられる。

 

映画「東京ドリフト」のマレーシア版、「KLドリフト」はシリーズで2作品作られた。日本の漫画「頭文字D」で主人公の乗る、藤原とうふ店「AE86スプリンタートレノ」(通称 ハチロク)を、完全コピーした熱狂的なドリフトファンもいる。

 

ペナンで開催された「トヨタ・ガズーレーシング・フェスティバル」でパフォーマンスを終えたばかりの、両選手にインタビューをした。

 

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ーーマレーシアでのパフォーマンスは何回目ですか。
川畑 今回で4回目です。初めは「TOYO D」というドリフトイベントのゲストとして来ました。その時は、日産の「180SX」で走りました。今回は、TOYO TIRESの「TOYOTA 86」を2台持ってきています。
藤野 自分は、TOYO TIREの86になってから参加しました。今回で3回目です。

 

ーーお2人がドリフト・パフォーマンスを行う上で気を付けていることはありますか。
川畑 まず、2人で息の合った走りをどうやって見せられるか、というところです。自分中心で走るのではなくて、お互いが走りやすいように気を付けています。そうすると、距離も近くなるし、パフォーマンスの精度も上がります。相手のことを思いやる「思いやり運転」を心がけていますね。
藤野 自分も同じで、精度を上げることで、お互いに息のあった走りができるようにしています。

 

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ーー日本とマレーシアでの客層の違いについて教えてください。
川畑 パフォーマンスをした時のお客さんの反応が違いますね。日本人のお客さんだと、ちょっと控えめなんですよね。マレーシアでは、精一杯応援してくれたり、喜んでくれる。お客さん反応やリアクションがすごく大きいので嬉しいですね。
藤野 やはり、リアクションが日本と比べると大きいので、パフォーマンス時のお客さんのリアクションを見て、次はこういうふうにすれば楽しんでもらえるんじゃないかと考えて演目を作っています。

 

ーー実演しながら試行錯誤している……ということでしょうか。言われてみれば、初回と最終パフォーマンスの印象は随分と違いました。
川畑 そうです。毎回、ちょっとずつ変えていったのもあるんですけど、自分は最後のパフォーマンスでは一番壁、壁(外壁寄り)を大きく、さらに大きく走りました。本来は、「進ませて、止めて、曲げて」の動作を連続で切り返して、丸く走っています。それをもっと大きく走ることによって、乗り方的には丸が多角形になります。「進ませて、止めて、曲げて」の回数を小刻みにした感じが最後のパフォーマンスです。そうすると強弱がでるので、2台の車両が近い距離をキープできます。
藤野 基本、2台が近く走るために、後ろの人が近づけているイメージなんですけど、こういうパフォーマンスの場合は前の人が結構、調整しているんですよ。
川畑 そうですね、逃げると離れちゃうので、追っかけてくるまでに時間がかかります。
藤野 だから待ってもらって、後ろがついたら進んで行くって感じで、歩み寄りです。
川畑 そういう感じです。

 

ーー競技の時とは、また違う感じですね。
川畑 D1(競技)の時は相手を思いやるふりしてる時もあります。
藤野 そうそう 笑。

 

ーーパフォーマンスには純粋な仲の良さなども影響しますか。
川畑 もちろん、そういう部分もありますけど、個々の技量や、得意分野を理解したうえでパフォーマンスをするとうまくいきやすいです。例えばペアが変わると、また気を使う場所が変ったりすることが運転のなかでありますね。合わせる技量を高くしないといけないな、という意識を強く持っています。

 

ーーちなみに、走行中に観客の声援は聞こえてますか。
川・藤 聞こえないです。

 

ーーしかし、川畑さんは運転しながら手を振っていましたよね。
川畑 はい、そうですね。手をふったり、手を上げてくれたりするのは走りながら見えているので、それはすごく伝わります。

 

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ーー過去の海外遠征では、中国での突然の無観客試合や、ロシアでの、日本人が勝つと会場の空気が凍り付く試合など、異国ならではの体験がありましたよね。マレーシアでイベント中や旅行中に”日本と違う雰囲気”を体験することはありましたか。
藤野 基本、同じチームメンバーでの行動なので、遠征先だからと言って特別変わったことはないですね。
川畑 ちょっと演目の回数間違えるくらいだよね。
藤野 そうそう、走ってる時の2周まわれってところを3周まわってみたりとか 笑
そういう、間違ったときでもなんとなく(川畑が)ごまかしてくれるので、結果的に丸く収まります。
 
ーーそこはコンビネーションですね。
川畑 そうですね、思いやり運転です。
自分はまぁ、イベント中はミスなく走るっていうのを徹底しているので。パーフェクトでうまくいきました。宿泊先では、いいホテルだったので泳いでみたり、ご飯が美味しかったり。アウトドアなお店が多いので、ちょっと酔っ払いすぎちゃったりで、開放感があって楽しみました。マレーシアってそこまで変だなって思ったことないけど、みんな暑いのにたくさん服着て大変やなって思ったくらい。印象はとにかくすごくいいです。

 

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ーータイのガズーレーシング・フェスティバルにも出演されていますが、タイとマレーシアの違いはありますか。
川畑 タイでやる場合は、そもそも車が違います。タイの場合は86ではなくて、ハイラックスを使いました。車が2台であったり、3台でやることも多くて、そういったところでは、マレーシアよりは派手なのかもしれないですね。

 

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ーー最後に、日本のドリフトをどのように世界に発信したいですか。
川畑 かつて、日本のドリフトレベルが世界一だと言われていたのに対して、ここ近年、世界のレベルが上がってきているので、日本からの発信力が少し弱まっている状態です。しかし注目度のある国でパフォーマンスをしたり、海外の競技に積極的に参加することによって、日本からの発信力も増えると思っています。世界中の人に会場へ来てもらうのは不可能ですが、世界中の人に映像を観てもらうことは可能だと思います。一気に大きく変えることはできないので、まず自分にできることから、いろいろ活動していきたいです。

 

DSCF8398 - 世界で活躍するドリフト選手 川畑真人さん・藤野秀之さんインタビュー(現地メディアの取材を受ける選手)

 

藤野 ほとんど同じになってしまうんですけど、日本のレベルも、周りの国のレベルも変わってきているので、その辺も踏まえて自分の技量を上げていきたいです。そして、もっといろんな国へ行って、日本人がなるべく勝つ。そうやって、どんどん国内外に発信していくのがベストだと思っています。

 

ーーありがとうございました。

 

次回、2019年4月26日~28日の「トヨタ・ガズーレーシング・フェスティバルinセパン」で「Team TOYO TIRES DRIFT」がドリフトパフォーマンスを披露する。クアラルンプール国際空港近くのセパンサーキットで、日本のトップドライバーによるドリフトを体験してみてはいかがだろう。

 

「Team TOYO TIRES DRIFT」
https://drift.toyotires.jp/

 

川畑真人プロフィール
誕生日 1977年10月15日、血液型 O型、出身地 大阪府、ニックネーム 川ちゃん、マサト
2017年 FIA Intercontinental Drifting Cup 総合優勝
2015年 D1GP シリーズ総合チャンピオン
2014年 D1GP EX.『D1 ワールドチャンピオンズ』 優勝
2013年 D1GPシリーズ総合チャンピオン、シリーズ単走チャンピオン

 

藤野秀之プロフィール
誕生日 1974年6月29日、血液型 AB型、出身地 埼玉県、ニックネーム ヒデ
2017年 D1GP シリーズ総合チャンピオン
2015年 Drift Muscle シリーズチャンピオン
2014年 Drift Muscle シリーズチャンピオン

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