【ラブアン島 】謎の煙突「ザ・チムニー」(The Chimney)&「ラブアン・ヘリテイジ・トレイル」(Labuan Heritage Trail)
マレーシアの連邦直轄領、ラブアン島にある建造物「ザ・チムニー」とハイキングスポットの「ラブアン・ヘリテイジ・トレイル」は、ミステリーに溢れる場所だ。ラブアン観光局の勧めで行ってみた。(マレーシアマガジン=野本響子)
ラブアン島で最も有名な建造物「ザ・チムニー」は謎の多い建物だ。ラブアン島の北部のタンジュン・クボンの高台にそびえており、すぐ近くの崖下には海岸がある。このチムニーは、2013年にインターナショナル・グリーン・アップル賞を受賞し、注目を集めた。
「チムニー」の横には博物館が併設されている。1847年から1911年の歴史や保存の経緯が詳しくわかると同時に、英国植民地時代の炭鉱の様子が再現されている。
1900年ごろ、この辺りは英国が炭鉱を運営しており、少なくとも5つの英国の炭鉱会社が石炭をビクトリア港に運んでいた。
「チムニー」の何が謎か
まず、この煙突自体が謎に包まれている。英国製の2万3000個のレンガで作られているが、近代建築ではなく、ただ積み上げられているだけで、基礎部分は約1メートルしかないと言う。博物館の人によれば、これがなぜ今まで崩れずに立っているのかが謎なのだそうだ。
地元の人は、かつては他にも6つ、合計7つの塔が建っていたのだが、全て崩壊し、この塔しか残っていないと話す。ただし、その証拠も見つかっていない。
また、「チムニー」は、炭鉱の排気のための煙突であると長いこと信じられてきた。ところが、近年になって調べてみると煙突として使われた形跡がないことがわかった。また、地下にも炭鉱の跡が残っていない。チムニーの内部は煙突状になっているものの、何かを燃やした形跡もなく、地下の建造物もない。
そのため、いくつかの説が現在では唱えられている。建てかけの家であるとか、船のための灯台なのだという人もいる。現地住民は、これは船が到着することを知らせる鐘を撞くのに使われていたと話している。しかし、実際のところはまだ不明なのだそうだ。
マレーシアの謎の建物の一つである。
ラブアン・ヘリテイジ・トレイル(Labuan Heritage Trail)
「チムニー」の裏手には「ラブアン・ヘリテイジ・トレイル」というハイキングのための道がある。南シナ海を見ながら、海に切り立った崖のような丘を登り、海岸を通り、再び草原を通る約5キロ弱のルート。
途中には、夕日のよく見えるポイントや、海に突き出す切り立った崖などの絶景ポイントも多く、変化に多い地形でちょっとしたハイキングを楽しめる。
また第二次世界大戦中に、日本軍が弾薬を入れる倉庫として使ったらしい建物(Gedung Ubat)も残っている。
丘を下りると、その先にはかつては港として使われた海岸が広がっている。炭鉱に英国が列車を作ると、その後は使われなくなったのだそうだ。なお、この海岸から見える地層には石炭が露出しているのが興味深い。
海岸側からまた草むらを抜けて、「チムニー」に戻る。木陰がなく暑い場所が多いので、帽子と虫除けを持っていくと良い。
8.30 am – 5.00 pm
Chimney Museum, Kg Lubok Temiang, Tanjung Kubong Road, 87008 Labuan
Tel: 087-463 603
Email: [email protected]
入場無料