「いじめのない学校」が実践する4つの驚きの方法
こんにちは、野本です。マレーシアマガジンの学校関学ツアー、最近ではスタッフとして同行させていただいています。今回は「いじめのない学校」キャンペーンを展開する学校を取材しました。
日本ほどではないにせよ、マレーシアの学校にもいじめはあります。
そんな中、「ブリー・フリースクール(いじめのない学校)」を堂々と謳うのが、クアラルンプール郊外にあるキングスレー・インターナショナルスクールです。
比較的新しい学校ですが、英語ができなくても入れるので、日本人や韓国人には有名です。
クアラルンプール郊外にある大きな校舎。大きく「ブリーフリースクール」と書かれた横断幕が目に入ります。
一体どうやっていじめを減らすのでしょうか?
この学校では「いじめは起きるものだ」という性悪説に基づき、システマティックなやり方でいじめ撲滅を狙います。
学校でセールス&マーケティングを担当するレイモンド・ウォンさんによれば、いじめが発覚すると警告、従わない場合には、退学が課せられます。
ここまでは、マレーシアの普通の学校にも見られます。特異なのは、ここからです。
1 いじめは監視カメラで常にチェック
校内では350ものCCTVカメラを校内にセットし、すべての教室、廊下は映像に撮られ、常時生徒たちをチェックします。
「先日もある生徒が他の生徒を押したというので、すぐカメラの映像を見て検証しました。話し合いの結果、押した方の生徒はふざけていたつもりだったのですが、相手は嫌な気持ちがしたということがわかりました」。
過去には実際に退学になった生徒もいるそうです。
学内はセキュリティが厳しく、エレベーターホールなど、先生の目が届きにくいところには、教職員が持つ特別なカードがないと出入りができず、死角がないように配慮しているそうです。
食事時の食堂には先生が交代で常駐します。
2.あらゆる場所に「いじめ」に関する警告
校内のありとあらゆる場所で「bully free」のポスターを見ます。
この「bully free」のポスターはユニークで、一枚一枚で書いてあることが違うのです。
「意地悪なことや、悪い言葉をいうのもいじめです」「クラブ活動中もいじめは許しません」
といったポスターが学校中貼ってある感じで、どこにいようが嫌でもいじめを意識せざるをえません。
3 大人どうしのいじめも許さない
例えば、母親同士のイジメも禁止です。親のスタッフに対する態度もチェックされます。「例えば、親が受付で学校スタッフに無礼な言葉を使ったり、怒鳴ったりした場合も警告です」とレイモンドさんは話します。
「子どもだけにルールを守らせても意味がありません」と彼は続けます。「子供は常に親を見ています。基本的にマナーは両親からくるものです。だから新しい家族が入ったら、我が校のいじめ撲滅システムについて理解してもらい協力してもらいます」
4 生徒のフェイスブックも監視
「サイバーブリング」と呼ばれるインターネットでのいじめ。どう対処するのでしょうか?
「生徒のフェイスブックなどは常時見ています」とレイモンドさん。聞けば彼は元教師。インターナショナル・スクールの指導経験もあるそうです。「隠れてやったらどうするか? ページをプリントして持ってきてもらいます」
驚いたので、父兄や子供達にも聞いてみました。
「実際に厳しく運営されてますよ。謝罪文を書いたり、学校から警告を受けた経験がある子も多いです」と話してくれたのは、日本人のある父兄。
カメラのチェックも頻繁に行われており、ちょっとした悪口でも、報告される傾向にあるそうです。
生徒の一人は、「悪い言葉を使うことに対してかなり厳しいです。いつもカメラでチェックされるので気が抜けません。先生だってチェックされますよ」と教えてくれました。
この学校に実際にいじめがないのか? はさらに取材してみないとわかりません。
方法論はともかくとして、いじめに苦しんでいる子供にとって、学校がここまで徹底して戦う姿勢を見せているのは、安心ではあるでしょうね。
この学校は管理教育でいじめを減らしますが、正反対のアプローチで、生徒と徹底的に話し合い、いじめを減らす学校もマレーシアにはあります。長く取材していますが、その学校ではいじめは実際にほぼ起きていません。
何れにしても、日本と違うな、と思うことは学校や先生たちがいじめを見て見ぬ振りをせず、「いじめは起きる」と認め、対処していくところです。