選択肢が豊富なマレーシアの教育
学校案内にもトレンドがあります。数年前までは「子供に英語を学ばせたい」という父兄が多かったのですが、最近では「日本の義務教育とは違う教育を受けさせたい」という方も現れて来ました。「暗記教育に意味があるのか?」というわけです。欧米で以前議論されて来たことが、今ようやく日本で始まったという感じでしょうか。
同じ年齢を同じ学年に入れて並べて教育することや、先生がクラブ活動を教えて長時間労働することなど、かつて当たり前だとされていることが疑問視されるようになって来ました。
豊富な選択肢があるマレーシアの教育
日本の教育も、従来の伝統的な教育方式から、欧米型へのアクティブ・ラーニングへと転換しようとしています。ちなみに、マレーシアもアクティブ・ラーニングは主に欧米系のインターナショナル・スクールが主流で、公立学校は教科書や黒板を使った伝統的な教育方式です。アジアの教育って、今はどこもまさに過渡期なんですね。お隣シンガポールも教育改革を始めるようです。
マレーシアでは飛び級や落第もありますし、黒板を使う伝統的な学校から、iPadなどの機器を小さい頃から使わせる学校、モンテッソーリのように異年齢を1クラスで一緒に教育する学校、STEM専門の学校まで、今のところ、日本よりずっとたくさんの選択肢があります(ただし、お金はかかります)。
最初の数年は語学の基礎が大事になる
ただ、豊富な選択肢を享受するには、言葉の基礎がどうしても必要です。
日本人のお子さんに一つアドバイスするとしたら、最初はどこでもいいので、日本人の少ない環境に入れて、外国人の友達を作ることです。「小さい子供だから英語は放っておいても大丈夫だろう」と思っていると、あっという間に日本人同士でグループになって、いつまでも上達しません。幼児期に来たのに英語の語彙は増えず、日本語も弱い、ということになってしまいます。
さらに親が日本人同士の情報網を使って日本人と韓国人だらけの英語塾に入れたりすると、いよいよ英語嫌いになって帰っていきます。それほど、日本人にとって語学の壁は大きいのです。
日本で英語を勉強させたほうがいいですか? とよく聞かれますが、必要ないと思います。語学の学習って、1週間に数回程度の学習では、とても追いつかない量のインプットが必要です。むしろ夏休み、1ヶ月フィリピンの学校にでも行って英語漬けになったほうが良いです。
英語ができるようになると、上記のアクティブラーニングを受ける用意がようやく整います。マレーシアは転校も容易ですし、転校生をいじめるようなカルチャーもないですから、最初の学校は、実はあまりこだわらなくてもいいんじゃないかな、というのが私の実感です。
しかし例え教育が思ったようにいかなくても、やっぱり日本の外に出てみることには、親子ともに大きな意味があると思います。私は来て六年目になりますが、本当に来てよかったなーと実感しています。視野が広がり、世界が広がると、以前思ってもみなかったような選択肢が出て来ます。この楽しさをぜひ共有したいです。