マレーシアの長期滞在ビザ、話題のMM2Hって何?

目次
マレーシアに移住したい人が多い
財団法人ロングステイ財団の調査によると、アメリカやニュージーランドといった人気国を抑えてなんと13年連続(2006~2018年)で「日本人が住みたい海外の国No.1」に選ばれている国がマレーシア。実際に2018年におけるマレーシア在留邦人は、前年度に比べて3.0%増加し24,411人となっています(外務省2018年度版「海外在留邦人数調査統計」より)。
日本人がマレーシアに移住したいと考える理由は何なのでしょうか。
この国の持つ温暖な気候やおおらかな国民性、日本からのアクセスの良さや物価の安さなど、魅力を挙げればキリがありません。加えてこの国独自の長期滞在ビザの存在も移住人気に拍車をかけ、近年では比較的高齢の方だけでなく若年層に至ってもマレーシア移住を成し遂げているという傾向が見て取れます。
今回はこの、マレーシアの長期滞在ビザMM2Hの内容と魅力を徹底的にご紹介していきます!
長期滞在ビザMM2Hの特徴
正式名称が「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム」、通称MM2Hはマレーシア政府イチオシの長期滞在ビザです。一定の条件をクリアした上で10年間という長期の滞在が可能なこのビザ取得に当たっては、日本人の取得合計者数が世界2位という事実があるのです。
簡潔にですが、MM2Hの大きな特徴を7つほど列挙してみましょう。
①10年間マレーシアに滞在できる
MM2Hの取得によって10年間という長期の滞在が可能になります。ただし永住は出来ません。一方で10年後は延長することも可能ですので、実質的には永住も可能ということが出来るのではないでしょうか。
②滞在義務がない
MM2Hを取得したからと言ってマレーシアに滞在する義務はないのも特徴です。つまり、出入国が自由に出来るのです。例えば日本とマレーシアのどちらかを拠点にして、セカンドハウス感覚で2国間を行き来するなんてことも可能ですよ。
③年齢に関係なく申請可能
世界の長期滞在ビザ事情を見渡してみると、その申請条件に、「年齢」の制限を設けているケースも多いです。一方でMM2Hはある一定の財産・収入証明のみで、年齢制限はありません。
④マレーシアの高金利の銀行口座が持てる
日本の雀の涙ほどの銀行利子と比較して、マレーシアの年間の利子は4%前後で推移しているのが現状。MM2H取得により、このマレーシアの銀行口座を持つことができるのです。また、日本とは違い利子受取による税金がかからないのも非常に魅力的です。
⑤優遇金利でのローンを組んだうえで住宅購入が出来る
MM2Hの取得により、マレーシア国内で住宅を購入することが出来ます。外国人が住宅ローンを組んだり不動産を購入できる国は本当に少なく、マレーシア移住に当たっての無視できない大きなメリットです。
それはつまり、MM2Hの取得自体が「信用」とみなされることに因ります。その結果、住宅ローンの際の金利も優遇される傾向があります。
⑥家族も同行できる
家族を同行することが出来るのも大きな強みです。配偶者・21歳未満の未婚の子ども・60歳以上のご両親も同行できますので、まさに3世代一緒にマレーシア移住なんてことも!
⑦現地で就労も出来る(条件付き)
MM2H所持者の中で、50歳以上で専門職を有する場合は週20時間以内でのパートタイムジョブが可能になります。長期滞在ビザを有しつつ就労が可能なものという意味では、世界に類を見ないビザです。
どんな人にMM2Hが向いている?
これまでMM2Hのメリット7つを紹介してきましたが、つまり、この7つの恩恵を享受できる方にぜひおススメしたいのがMM2Hということになります。
- 10年間(さらに延長も可)という長いスパンでマレーシアに暮らしたいという人
- あるいは逆に移住ではなく、セカンドハウス的にマレーシアで滞在したい人
- 日本での資産を、金利という手段でさらに増やしたい人
- マレーシアで不動産を購入して運用(あるいは居住)したい人
- 自分一人だけでなく、家族一緒に移住したい人
など、一つでも当てはまる場合はぜひMM2Hの取得を検討する価値があると言うことが出来るのではないのでしょうか。
年齢によって異なるMM2Hの申請条件
MM2Hの取得を目指すに当たり上記に挙げたメリットを理解できた後は、実際に取得する上での申請条件の確認をしていきましょう。まずMM2Hに関しては「年齢」によって異なる条件が付加されますので注意が必要です(1RM=26円で計算)。
50歳未満 | 50歳以上 | |
---|---|---|
財産証明 | 最低50万リンギット(約1,300万円)以上の財産証明 | 最低35万リンギット(約910万円)以上の財産証明 |
資産証明 | 月額1万リンギット(約26万円)以上の収入証明 | 月額1万リンギット(約26万円)以上の収入証明又は年金証明 |
定期預金 | 仮承認後、30万リンギット(約780万円)をマレーシアの金融機関に定期預金する必要あり | 仮承認後、15万リンギット(約390万円)をマレーシアの金融機関に定期預金する必要あり |
注意事項 | 2年目以降は医療費、家の購入、教育費目的に15万リンギット(約390万円)を引き出す事が可能 | 2年目以降は医療費、家の購入、教育費目的に5万リンギット(約130万円)を引き出す事が可能 |
「財産証明」とは、日本でMM2Hを申請する際にあらかじめ必要とされる、申請者の財産のことを指します。これには預金や有価証券が含まれ、申請時からさかのぼり3ヶ月間、規定額が預金されている証明をする必要があります。いわば、その申請者の財産が規定を越えているかどうかを証明するものです。
対して「資産証明」とは、月々の収入が規定を越えているかを証明する類のものになります。具体的には、毎月の給与(あるいは年金など)が振り込まれている通帳口座のコピーや前年度の源泉徴収票などで証明する形となります。
それらの証明をクリアした上で申請し、仮承認がおりた後に今度は、現地マレーシアの定期預金口座を組む必要があります。50歳未満・以上の違いにより最低の預入金額が異なります。先に紹介した通りこの定期預金には現地の高金利が適用されますが、マレーシアのペイオフ上限額(25万リンギット)に十分配慮の上で金額を決定する必要があります。
MM2H申請から受領までの流れ
2019年の3月までの間しばらくMM2H申請が凍結されていましたが、現在のところ再開され、申請から3ヶ月~半年程度でMM2Hが取得できる様子です。
- 必要書類を準備の上で「マレーシア・マイ・セカンドホームセンター」へ提出
- 審査を通過した後に仮承認書が発行
- 仮承認書発行から6か月以内にマレーシア国内で各種手続き(定期預金口座の開設や医療保険加入、健康診断等)
- MM2Hセンターで各種書類(定期預金を開設した旨の証明書や健康診断書、医療保険の証書等)を提出
- はれてMM2H取得!
上記5つのステップを個人でやるとなると、さらに長期戦が予想されます。手間と費用のバランスを考えた上で、MM2H取得の代行業者に依頼するのも一つの手と言えるでしょう。
まとめ
マレーシアへの移住に当たっては今回ご紹介したMM2Hビザ以外にも、観光ビザ、就労ビザ、学生ビザ、配偶者ビザなどの選択肢があります。
その中でも年齢制限がなく、ある程度の財産や月額収入でマレーシアに長期滞在できるMM2H は注目に値します。
毎年のようにこの資産条件や収入条件が厳しくなると言われているマレーシアのMM2H。マレーシアへの移住を検討されている方は、出来れば早めに申請だけでも行っておくことをおススメします。