【クアラ・ピラー】国家遺産「セリ・メナンティ王立博物館」
クアラ・ピラーにある「セリ・メナンティ王立博物館」はヌグリスンビラン王家の旧王宮。マレーシアでは珍しい木造建築宮殿だ。(マレーシアマガジン=かりわめぐみ)
ヌグリ・スンビラン州のクアラ・ピラーにある「セリ・メナンティ王立博物館」はヌグリスンビラン王家の旧王宮だ。クアラルンプールから1時間半くらいの場所にある。
旧王宮は、マレーシアに現存する数少ない木造建築宮殿の一つである。現在、改装中で2019年9月より一般公開を開始する。見学は無料。
王都「セリ・メナンティ」
ヌグリ・スンビラン地域は、約6世紀前にスマトラ西部から移住してきた「ミナンカバウ人」が定住した土地で、マレーシアの中でも独特の建築文化を持っている。
クアラ・ピラー行きの直行バスは、クアラルンプールのプドゥ駅から運行している。「トランス・ナショナル・コーチ」の定期バスは1〜2時間の間隔で、所要時間は約1時間30分。スレンバン駅からは、約50km東。ヌグリ・スンビラン州の中央に位置する。
築110年以上の長寿宮殿
初期の王宮は1875年の「ブキッ・プトゥスの戦い」でイギリスによって破壊されており、現存する「セリ・メナンティ王立博物館」は1902年に着工し、1908年に完成した。再建には6年の歳月を費やした。それから、1932年までヌグリ・スンビラン王家の公邸として使用されていたが移転に伴い、現在は博物館となっている。
植民地時代のデザインを採用した貴重な建築様式
全焼した王宮の再建に携わったのは地元の熟練職人「Kahar」と「Taib」である。彼らは、ミナンカバウの伝統的な建築様式に基づいて、新たな木造宮殿を造り上げた。主柱となっているのが4本の柱は、それぞれミナンカバウを形成する「Chaniago」「Koto」「Piliang」「Bodi」の4部族を象徴している。常緑広葉樹のチェンガル木を使用した99本の柱はミナンカバウの99人の戦士を表している。建築には”金属の釘”や”ネジ”を使用しない代わりに”pasak”と呼ばれるの”木の釘”を使用している。
特徴的なのは、「ウリン(別名、ボルネオアイアンウッド、鉄木)」の傾斜屋根で、マレーシア国内でもあまり見ることのできないヌグリ・スンビラン独自のデザインとなっている。
”世界一堅い木”と言われるウリンはシロアリや菌に強く、乾燥した状態で使用すると40年から100年の耐久性があるという。
王窓や扉に描かれた金の彫刻は、ミナンカバウの自然を表現している。ミナンカバウ彫刻の基礎である籐の木や、花、葉、根、果物などの自然のパターンが左右対処に描かれており、その技術の高さが伺える。このデザインは王の希望で採用されたという。
屋外のレプリカ
屋外にもいくつかの展示物がある。黄金の玉座(レプリカ)は、パレードや式典の際に使用されたもの。中でも興味深いものは、スマトラのミナンカバウにある「バトゥ・カスール(Batu Kasar)」のレプリカ。これは、若い王子が支配者として認められるための試練の石で、「ジェルトン(Jelutong)」を敷き詰めた石の上で数日寝るというもの。ジェルトンは、接触皮膚炎を誘発する植物である。この試練を見事通過した唯一の人物が初代ヌグリ・スンビランの王「ラジャ・メレワール」だった。
「Sri Menanti Royal Museum」
所在地:Seri Menanti, 71550, Kuala Pilah, Negeri Sembilan, Kampung Batu Tempurong, 71550 Seri Menanti, Negeri Sembilan
電話:06-497 9653